藍club通信

少量の砂糖とバターで味を整えただけ。
りんご本来の甘みと酸味を凝縮させたその味は、煮詰められたキャラメルの深い風味と相まって食べた後に余韻を感じる逸品。
週末に1台(8カット)だけの限定販売。まさに幻の傑作といえる。

岡田シェフの作るタルトタタンは、日本で一般的とされているものとは全く違う。
『一般的な』タルトタタンは、りんごを敷き詰め、上にパイ生地をのせて焼き器にひっくり返してのせるのが特徴。
そもそもこの不思議な形のパイは、ホテルタタンのタタン姉妹が、
りんごのタルトを作っていた時、あわててりんごの生地を逆にして焼いてしまった。これがおいしく、評判となり有名になったと伝えられている。

しかし、この製法では表面だけがキャラメル状になるだけで、中は白色のまま。岡田シェフにとっては『屋台の出店で売られてるりんご飴』と何ら変わりないと感じられた。あまり良い印象のなかったタルトタタン。
『自分がおいしいと感じたものをお客様に提供したい』という強い信念がある岡田シェフには、どうしても作る気になれなかった。

そんな中、作るきっかけになったのがフランスの「Le Veronese」での修行時代。そこで出会ったタルトタタンに驚かされた。
大量のりんごを少量のバターと砂糖を加え、長時間かけて煮詰められることで、りんご特有の酸味が甘味をさらに際立たせている。
「芯までキャラメル状で、作られた味ではなく自然なりんごの味を凝縮させた本場のタルトタタンに感動しました」。

日本に戻り当店のChef Patissierになってからは、試行錯誤の連続。
日本人好みの味を求めて、ようやく現在のタルトタタンにたどり着いた。
まずりんごは、強い酸味があり1年を通して手に入るジョナゴールド(※1)を使用。CALVADOS(※2)で風味を加え、最後にシナモンで香りを。その全行程には5時間を要する。

「やはり自分が美味しいと感じたものをお客様にも提供したい、本当のタルトタタンを知って欲しい。その一心です。ただ残念なのが、非常に手間のかかる商品なので週末にたった1台しか作れません。
もっとたくさんのお客様に食べていただきたいのですが・・・」。
『本当のタルトタタン』は週末の藍clubにある。

※1
甘みだけでなく、ほど
良い酸味も持ち合わせる。
※2
フランスのノルマンディ
地方原産の、りんごを
発酵させたシードルの蒸留酒。

果汁を取りながらリンゴを
やわらかく焼き上げていく。
オーブンに入れ焼く。
「5個のりんご」がこぼれないようにへらで押さえる。
仕上げにシナモンを
ふりかける。



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